大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)334 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人水上孝正上告趣意第一点について。

本点所論(一)については、旧刑訴法上所論のような書面につき、これが証拠能

力を否定又は制限した規定は存しないのである(新刑訴法の下においても第三二二

条の制限が存するに止まるのである)、又右書面の作成者である占領軍要員たるA

に対しては、これを証人として強制喚問ができないとしても、同人が録取した被告

人の陳述調書が証拠能力を奪われるものではないのである。(刑訴応急措置法第一

二条第一項本文「(被告人を除く)」との規定参照)。従つてこの点の論旨は何れ

も理由がない。次に所論(二)については、原審第一回公判調書の記載である「原

審(第一審)公判調書中証拠調の部列記の各書類」(記録五一丁表以下)と、第一

審第一回公判調書の証拠調の条の記載である「被告人の陳述書の飜訳書」(記録三

〇丁裏)とを対照すれば、原判決挙示の証拠である所論「A作成の被告人の陳述書」

とは、右「被告人の陳述書の飜訳書」を指すものであることは明らかである。そし

の右飜訳書に編綴されているのである(記録二丁、三丁)。論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし、弁護人小河虎彦は原審第二回公判期日に出頭しており、そして同公判期

日に適法に召喚されながら出頭しなかつた所論共同弁護人小河正儀は右虎彦弁護人

と事務所を共同するものであるから(記録四〇丁に明らか)、所論第三回公判期日

は当然これを確知し得べき状況にあつたものと言わねばならぬ。それのみならず、

弁護人に対し、適法な召喚手続がとられており、且つ裁判所が公判廷において順次

次回公判期日を指定告知した以上、特別の事情のない限り、その公判期日に出頭し

なかつた弁護人に対しても次回期日につき重ねて旧刑訴三二〇条の召喚手続をしな

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くても不法に弁護権の行使を制限したものでないし又適法な召喚又は告知を受けな

がら出頭しなかつた弁護人は、該公判期日における審理の経過次回期日等、凡そ弁

護人の権義を尽すに必要な事項は遅滞なくこれを確知するに努むべきであることは、

正に弁護人当然の責務と言わねばならない(昭和二四年(れ)第九八六号、同年六

月七日第三小法廷判決、判例集三巻七号九五三頁参照)。それ故論旨は理由がない。

同第三点について。

しかし、原審認定の事実はその挙示証拠によつて明認できるのである。所論は畢

竟原審の専権に属する証拠調の限度を争い延いて事実の誤認を主張するものであつ

て、上告適法の理由とならない。

仍つて、刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に従い、主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

検察官 小幡勇三郎関与

昭和二五年八月九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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